弟の通院と服薬と病名告知

弟の異変に気づいてから統合失調症に行き当たるも、どうやって病院に連れて行くのかが問題だった。統合失調症の陰性症状を指摘して、「うつの症状みたいだから病院に行った方がいいんじゃない?」と説得。私が通ったことのあるクリニックに、なんとか連れて行くことができた。その場で病名告知はなかったが、後日、確認のため私一人で受診。症状を補足して伝えたところ、おそらく統合失調症だろうと言われた。

 

その時にはそれが精一杯だったけれど、今の私が考える理想は、入院施設とデイケアがあり、家からも比較的近い病院への通院。病識を持てない患者にとって、最初に治療を受ける病院は特に重要だ。転院も容易でないし、入院となればさらにハードルは上がる。通院から万が一の入院、デイケアまで同じ病院であればスムーズだし、私が具体的にイメージしている病院は、同年代の患者さんも多いようだ。自分に近い状況にある患者さんがいれば、病気も受け入れやすいのではないかと思う。

 

病院に通い、薬を飲み続けてもらうにはどうすればよいか。考え抜いた答えは、本人に病名を伝えることだった。彼であれば、病気を受け止められるのではないかという淡い期待もあったのかもしれない。それが後々、責められることになるとは思ってもみなかった。今の私であれば、タイミングを医師に相談するなり、もう少し慎重に対応できたかもしれないが、当時はとにかく必死だった。

 

「病気じゃない!」の後に、ときどき出るのはその時の話。私が病院に連れて行き、統合失調症であると伝えた日のことを、10年経った今でも詳細に、興奮して訴えることがある。「ああ、あの時のことは、彼の記憶にそう刻み込まれたんだ・・・」病識を持てないのも、統合失調症の症状の一つ。彼は受け入れられる状態にはなかったのだ。

 

ただ、心療内科との接点を持ち、統合失調症の薬を飲むことはできた。医師が統合失調症であると言うと、受け入れられずセカンドオピニオンを求めた。そこの医師から統合失調症ではないと言われたといい、薬を飲まないこともあった。以降、薬を飲むのを止めて症状がひどくなった時には、母が病院に連れて行くことが何度かあった。もちろん、一時は頑なに通院を拒んだり、薬の量を自分で調整してしまった時期もある。

 

薬を欠かさず飲むようになったのは、入院後のこと。

 

その時のことについては、また改めて書こうと思う。