統合失調症を受け入れられるか(2)

我が家の場合は、まず当事者である弟自身の偏見が強いです。そして、人からの偏見を恐れています。

 

今は亡き父も、弟の病気のことを親戚含め、周囲には話していませんでした。もちろん、必要がないのに敢えて話す必要はないでしょう。ただ、父の中には、病気である弟を受け入れられない気持ちがあるのではないかということを、私は近くで感じていました。

 

母は父ほどではないですが、弟の病気のことを話せないが故に、友人との距離を置いてしまったように思います。母が統合失調症についての知識を深めたり、家族会に参加するようになったのは、父が亡くなってからのことでした。

 

父が亡くなり、母亡き後のことについて母と話をした時、私から親しい親戚に話をすることを勧めました。理由は二つあります。まず、親しい親戚が、働かずに自宅にいる弟のことを心配していたこと。二つ目は、弟自身が病識を持っていない状況で、家族に何かあり、親戚の助けを借りなくてはならなくなる可能性もあるということ。二つの点から、親しい親戚には理解しておいてもらった方がいいと考えました。

 

母が話すかどうかは、母と親戚との信頼関係にもよりますし、最終的に母が話したいと思うか次第だと思い、あまり強くは勧めることはしませんでした。

 

現時点で、親戚の中では、母の妹、父の姉、義兄とその子供たち(従兄弟)が知っています。

 

医学が進歩して、ようやく精神疾患の原因等についての解明が進み、若い世代の間では、年配の方々よりも偏見が少ないように感じます。企業でもメンタルヘルスへの関心を持たざるを得えなくなっている状況もあり、社会人の間でも理解者は多少なりとも増えてるのではないでしょうか。

 

実際のところ、社会人の従兄弟の一人は、伯母から弟のことについて聞いても驚くことなく、「よくある病気だよ」というような反応をしていたそうです。

 

母は、弟の叔母と伯母と伯父に話したことについて、弟にも報告しました。弟は反応を気にしていたようですが、驚いていなかったことなど伝えると、少し安心したようでした。

 

弟の病気を人に伝える際、私自身が気をつけていることは、

(1)病気について説明できる時間が十分にあること

(2)自分と相手との間に信頼関係があること

(3)相手に病気を理解できるキャパシティがあること

の三点です。相手によっては、時間とキャパシティがあれば問題ないかもしれません。

 

今のところ、必要がないのにわざわざ自分から話すということはないですが、弟について聞かれた時には、弟について理解してもらうのはもちろん、統合失調症に対する理解者が一人でも増えてくれたらという気持ちで話をしています。