統合失調症と遺伝の関係は?
以前の職場の先輩と統合失調症の話をしていた時、“ある先輩の旦那さんが統合失調症を発症してしまい、子供に遺伝しないように離婚したらしい”という話を聞いたことがあります。これを聞いて、なんとも複雑な気持ちになりました。統合失調症が必ずしも遺伝するものではないということについて、その実態を知りたいと思うきっかけとなる出来事でした。
統合失調症の家族歴がある場合、そうでない人と比べると統合失調症発症リスクが高まるのは事実だそうです。調査報告がされているのとともに、ある精神科医も実感として感じていることであると書いているのを見たことがあります。
一般的に、統合失調症を発症するリスクは、1%(100人に1人)前後と言われています。では、統合失調症の人が家系にいる場合の発症リスクはというと・・・
・親の片方が統合失調症であった場合、子供が統合失調症を発症する確率は10%(10人に1人)
・両親がともに統合失調症であった場合、子供が統合失調症になる確率は40%
という調査結果があるそうです。少なからず、遺伝が関わっているということは否定できないでしょう。
しかし、統合失調症の発症は、遺伝がすべてではありません。実際の臨床の場で、統合失調症患者の60〜80%は、家族や親族に統合失調症の患者がいないという報告もあるそうです。我が家の場合も、これまで親族に統合失調症を発症した人はいません。
遺伝の仕組みは違うとは思いますが、個人的には“ガン家系だとガンになりやすいか”という話と似たところがあるのではないかと思っています。ちなみに、遺伝性のガンとはっきり認められるものは、全体の1%程度だそうです。その他に、その家系の「生活習慣や体質」を共有していることが、ガンの発症リスクを高めている場合が多いようです。
以前、身体のある部分の強い痛みが続いて病院に行った際、家族にガン患者がいるかと確認されたことがあります。私の場合、父がガンを患ったのと同じ場所で炎症が起きていました。
その際に医師に言われたのは、父が◯◯ガンだからといって、必ずしも私が◯◯ガンになるとは限らないということです。しかし、その場所が、体質的にストレスを溜めたりした時に影響を受けてしまうウィークポイントであることは、父と同じなのだと思いました。仮に同じ遺伝子を持っていたとしても、発病するかどうかは環境や生活習慣によって変わってくると思います。
統合失調症の話に戻ります。最近よく思うのは、これまで統合失調症を発症していない人の中にも、統合失調症に関わる遺伝子を持っていて、この先、発症する人もいるだろうということです。家族や親族の中に統合失調症の患者がおらず、差別や偏見を持っていたりする人も、将来的に統合失調症を発症する可能性はゼロではないのです。
親戚ではありませんが、身近なところで、60歳を過ぎてから統合失調症を発症した人の話を聞いたことがあります。人生、何があるかわかりません。
統合失調症に限らず、大切なのは、過度にストレスがかかるような状況に自分を追い込んでしまうことはしないように気をつけることでしょう。それは、家族に対しても同様です。
ストレスを溜めず、身体を動かし、食生活にも気をつけること。これは、ガンでも統合失調症でも他の病気でも、同じことが言えるのではないかと思います。
ディスカッション
コメント一覧
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私の母方がこの手合いです。
この家族には双極性もいればアルコール依存症も、もちろん統合失調症もいます。
加えて、おそらく今なら発達障害と診断されたであろう「部分的変人」も複数います(私もたぶんそう)。
発達障害は、ご存知の通り後天的なものではなく、脳内で一定の神経伝達物質が上手く作用しないという「先天的」なものですから、遺伝するのも当然でしょう。
私自身は高齢者関連の仕事に携わっているのですが、個人的見解ではありますけれど認知症の現れ方に、まさにこれが反映するように思えます。
幻視幻聴、被害妄想などを発症する方のご家族にお話をうかがうと、「もともと〜な性格で」というような、ある種の突出したパーソナリティがやたらと多く見受けられるのです。例えば「自分のいうことは常に正しいと思っている」「ものすごく潔癖症」「仕事が続いた試しがない」など。
だから、今「正常」だと思いながら高齢期を迎え、認知症になったとたん「地」がバレちゃうという人、これからきっと増えるだろうなぁと思ってます。
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rie530様
初めまして。コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、精神疾患には性格や気質も大きく関わってくるだろうと思います。
例えば、うつ病になる人は、真面目で完璧主義な人が多いと言いますよね。
rie530さんは、高齢者関連のお仕事に携わっていらっしゃるとのこと、きっと認知症の方々とも接する中でこそ感じることも多くおありなのだろうなと思います。
認知症になった祖母の場合は、性格上それほど変わったところはありませんでしたが、客観的に見てもひどいストレスを受けていました。ただ、そのストレスをどのように受けるかは、個々人の性格にもよるでしょうし、それがダメージの大きさの差にもつながるのだろうなと思います。
そして、認知症になると出てくる気難しさのようなものは、認知症がそうさせているとはいえ、その人がもともと持っている気質に由来するものだろうなのだろうなと思うことがありました。
認知症は、老化も一つの原因のようですが、長生きする上で、身体だけでなく精神的にも健康でいることの大切さをつくづく感じます。