統合失調症と病前性格の関係

統合失調症発症の一因になり得るものとしては、

  • 遺伝
  • 出生時の要因(出産時トラブル、父親の年齢、出産季節など)
  • 環境
  • ストレスに対する脳の脆弱性

などが指摘されており、「性格(病前性格)」も統合失調症の発症しやすさに関係すること分かっているそうです。統合失調症と病前性格の関係については、

  • 性格が原因で発症するのか
  • 性格そのものが統合失調症の前駆症状の一つなのか

という2つの可能性が、昔から議論されていてきているとのこと。そして、研究が進むにつれ、後者の要素が強いのではないかという考えが強くなってきているようです。

 

また、統合失調症の人の脳には、脳の体積が小さくなっている部分や、脳の機能に異常が生じている部分があること、多くは未成年や若年者が発症することから、統合失調症の病前性格には生まれつきの素因が多く影響していると考えられているのだそうです。

 

これに関しては、「ストレスによって脳の体積や機能に異常が出たりすることはないのだろうか?」「生まれつきの要素以外に、幼年期の環境などによって性格が形成されるということはないのだろうか?」と、素人ながらに考えたりしました。多くの専門家の方が研究されているのですから、そのようなことはないのでしょうけれど・・・

 

「このような性格を続けていると、統合失調症が発症する」といった性格そのものが発症の原因なのではなく、「統合失調症の前段階として、このような性格を呈するのではないか」という性格そのものが発症前段階における症状の1つのサインなのではないかと考えられるようになってきています。

つまり厳密に言えば統合失調症における病前性格というのは「原因」なのではなく、それ自体が統合失調症の前段階を発症しているということなのです。

 

上記は、ときどき拝見している精神科クリニックのブログから引用させていただきました。

http://seseragi-mentalclinic.com/schizophrenia-personality/

 

統合失調症患者の子供時代の印象は、

「聞き分けのよい、いい子」「あまり手のかからない優しい子」

といったものを多く見かけます。弟の子供時代が、まさにそうでした。

 

ドイツの精神科医クレッチマーが提唱している「統合失調症質」等を見ると、

非社交的で、内向的、思索的、一人でいることを好み、神経質、繊細、どこか世間離れしたような感じを持ち、体型はどちらかというと痩せ型

基本的に受け身で、自分から意見を主張したり、積極的に他人と関わりを持ったり、不満を訴えたりすることが少なく、相手からの関わりには応じる

といった特徴が共通しているようです。

 

弟を見ていても、もともとの繊細な性格にストレスが加わって発症したのだろうなと思ってはいましたが、研究でその性格自体が前駆症状であるという結果が出ていることを知ると、少しほっとするところもあります。本人のせいでも、親の育て方のせいでもないと思えるからでしょうか。

 

しかし、その一方で、そのような病前性格が前駆症状であるとわかっていたならば、家族としてできたサポートがあったのではないかという思いもあります。母も、今さら考えても仕方ないとわかりつつ、ネガティブになると「あの時、こうすればよかった」と言うことがありますが、確かに彼に合った接し方やサポートの仕方はあっただろうと思います。

 

統合失調症の病前性格を持ちながら、まだ発症していない方やその家族が事前にこのような情報を得ることによって、発症のリスクを軽減することができるかもしれません。そういった点からも、学校教育や母親・父親になるタイミングで、精神疾患に関しても学ぶ機会が必要なのではないかと思っています。