警備会社に対する私のトラウマ【民間救急を選ぶ際に気をつけたいこと】

統合失調症の弟が入院するにあたっては、5回ともすべて、民間救急に依頼しました。初回は「リーベン」という精神疾患患者の移送にも対応している民間救急専門会社で、それ以降はすべて警備会社が行なっているサービスを利用しています。5回のうち、2社に2回ずつ依頼したため、実質3社を利用したことになります。

 

いま改めて振り返ってみると、利用した中では、一番はじめにお願いした会社が一番合っていたのではないか?と思っています。以前の記事でも書きましたが、「リーベン」は費用が高いものの、服装は看護服で、訓練された男性の医療スタッフが来てくださったという印象でした。頑固な弟の説得にはやや手間取り、最終的に負傷していた弟の腕を指摘して病院に行った方がいいという話になったのですが、弟は抵抗したものの、声を荒げることはありませんでした。

 

3社のうち、2回目以降の2社は警備会社でした。3名体制で来るのですが、どのような服装をしていても、印象としては少し怖さがあります。説得をするにも、ドスが利いています。当時の様子を少し振り返ってみたいと思います。

 

【警備会社A】

A社に初めて依頼した際は、弟の監視によって長時間の外出ができなかった母に代わり、私が外で何社かに問い合わせをして、その中で感じがよく丁寧で、条件が合ったA社を選びました。事前の打ち合わせも丁寧で、統合失調症に対する理解や想いが感じられました。当日までに、説得担当の方と電話で2回話をした記憶があります。体格がよく凄みもありましたが、理解があって気持ちの優しい方だったので安心感がありました。できるだけ説得しようと試みてくださった点もとてもよかったです。それほど時間もかからず、本人も暴れたり強く抵抗することはありませんでした。

 

しかし2度目は・・・急を要していたこともあり、母が入院の前日か前々日に電話をして依頼したところ、前回の方はすでに移送の予定が入ってしまっているとのことで、別の方が来てくださいました。「15分程度で終わらせます」とおっしゃっていたそうなのですが、説得らしい説得をする前に、洗面所にいて浴室に逃げ込もうとする弟を阻止するため、3人掛かりで取り押さえるという結果になってしまいました。おまけに浴室のドアが壊れました。。

 

このことからの学びは、当日説得してくださる担当の方とは、事前にしっかりと話をしておいた方がよいということです。その際に、説得してくださる担当者がどのような方かもわかると安心できるかと思います。また、本人がどのような性格で、今どのような状況にあるのかを理解しておいてもらう必要があります。本人がどこにいる時に入ってもらうかを決めておくのも重要です。2度目の心象が良くないのは、担当の方々が入って来た時に弟のいた場所がよくなかったのと、弟が浴室のドアの上にしがみついて壊してしまったこと、私自身が担当の方とお話できていなかったことが大きいかもしれません。

 

【警備会社B】

この会社については、以前書いた「家族のための民間救急リスト」の中では触れていません。その後、母が家族会で情報を得た会社です。B社に初めてお願いした時は、またもや弟の監視が厳しく外出できなかった母に代わって私が事前に打ち合わせに行き、時間をかけて話をしました。弟の性格や状況も、よく理解してくださっていたと思います。当日の朝、弟はリビングにいたこともあり、話に入るのはスムーズでした。弟から笑い声が出るほど、説得は上手くいきました。

 

しかし2度目は・・・同じ方が担当してくださるだろうと思っていたので、母が電話で依頼をしました。当日の朝、私は車の中に打ち合わせに行って、自宅ドアまで誘導しました。弟は一度トイレに起きた後、部屋に戻って寝ていたのではないかと思います。前回と同じ3人の方が弟の部屋に向かい、ドアを開けると、弟はベッドの上で起きているようでした。その後、3人は部屋に入りドアを閉めました。警棒を持って入って行ったこと、乱暴な話し方が聞こえたことから、私は怖さを感じました。その時の様子から、どうやらメインの説得担当者は前回の方とは違ったようです。部屋から出てくると、前回の説得担当の方が積極的に話しかけていたように思います。本人は、部屋でパジャマから着替え、洗面所で歯を磨き、髪だけ洗って出て行きました。

 

おそらく、経験を積ませるために下の方に任せたのではないかと勝手に想像していますが、その時の様子はとにかくショックでした。弟は暴力を振るうことはないので、警棒は持たないで欲しかったですし、乱暴な話し方をすると余計に反発するので、あのアプローチは逆効果だったのではないかとも思います。あの状況では仕方がなかったと自分に言い聞かせながらも、こちらの会社にお願いするのはやめたいと思ったほどです。

 

以上のことから、警備会社に対する心象があまりよくなくなってしまったのですが、それはB社の2度目の経験が大きいのかもしれません。A社に関しては、担当者ときちんと打ち合わせすることを前提に、またお願いする可能性もあります。費用は、A社はリーベンの約3分の1で、B社はリーベンと同じでした。

 

本人が暴力を振るう可能性があるとか、体が大きいとか、そういった場合には警備会社の方が安心かもしれません。しかし、暴力を嫌い、実際に暴力を振るったことがなく、基本的に紳士的な対話を好む弟の場合には、警備会社である必要はなく、むしろ違う方がよいかもしれないとも思っています。“特に男性の場合、明らかに自分よりも強いとわかる相手に対しては抵抗できない”と言いますが、弟を見ていて、あまりそういったことは関係ないように見えました。

 

また移送サービスが必要になった場合には、警備会社以外の民間救急も検討してみたいと思っています。初回は時間がなく、全国対応している「リーベン」を利用しました。非常によかったと思いますが、費用が高く、都内には他にも警備会社以外の民間救急があるようなので、探してみたいと思っています。その際には、事前に問い合わせをして、その会社のやり方や担当者の人柄などを把握し、当日の前に打ち合わせもしっかりしておきたいと思います。

 

【参考情報】

株式会社リーベン[精神疾患患者搬送・精神病患者移送]

全国統一救急コールセンター:0120-119-751(022-381-728)

メール:lieben@msh.biglobe.ne.jp

 

ー 民間救急