親亡き後問題にも備えた「家族の話し合い」の必要性

退院を考えるも、再び行き詰まる。今回、初めての長期入院となり、2年が過ぎた。先月、グループホームへの入居直前に、書類へのサインを拒んだ弟。担当の精神保健福祉士の方いわく、書類に引っかかる表記があったことが原因らしいが、純粋に書類の表記が気に入らなかったのか、退院が不安になったのかは定かでない。

 

「実家に帰りたい」という弟の希望を受け入れる選択肢もある。ただ、何度も同じことを繰り返してきた。病識がないまま3ヶ月で退院し、気づくと断薬していて再び入院する。一人暮らしをしても同様で、一年に一回、3ヶ月入院するというのが恒例のようになっていた。それで平穏に暮らせればまだいいが、家族は疲労困憊し、本人からも焦燥感や緊張感が伝わってきていた。

 

どうすれば前に進むことができるのかと考えた時、家族としてできるのは、家族全員で話すことだという当たり前の結論に至った。いまは退院日のリミットがないので、落ち着いて話ができるチャンスでもある。

 

ただ、弟は話し合いとなると一方的に自分の主張をし、相手の話を聞かない所がある。家族だけでの話し合いが難しい時には、第三者として区の保健師さんに同席してもらおうと思う。ちなみに、弟はその保健師さんの話には耳を傾けるようである。第三者に対して信頼とまではいかずとも、不信感を抱いていないかどうかは大事なポイントだ。

いま必要な弟との対話

いま、“ひきこもり”が問題になっているが、このままでは親亡き後、弟がひきこもりになる可能性もゼロではない。本人が希望や意欲を失ってしまわないうちに、今後どうするのがよいのか、腹を割って話し合う必要があるだろう。

 

私は、本人が生きがいを見つけられたら、働くことがすべてではないと思う。でも、生活していく手段として必要なこともある。特に、障害年金が受給できない弟にとって、何らかの収入を得ることは必要不可欠だ。

 

それぞれが、いま何を考え、どうしたいと思っているのか。弟が腹を割って話してくれるかわからないが、一度でダメなら何度でも話せばいいと思う。必要であれば第三者に入ってもらうことも念頭に置きつつ、いまは弟と話すことが一番だと感じている。