いま、家族にできること。

未だに時々思うことがある。

 

弟を医療保護入院させてしまって、本当によかったのか。

 

でも、弟が断薬してどうにもならなくなってしまった時、他に選択肢があったかというと思い当たらない。先生に、自宅に来てもらえればよいのだが、それを行っている日本の医療現場は少ない。

 

「治療目的」というと聞こえはいい。

 

でも、弟の自由を奪ってしまった。

 

それが、私の中で一番引っかかるポイントだった。

 

退院後、自立を目指してグループホームに入るというのも、周囲がレールを引いたことであって、本人が心から望んでいることではない。子供の頃、親にされて嫌だったことを、家族として弟に続けているような気がしてならない。

 

それぞれの本心、それぞれの生活

当初は、本人の自立のためにと、一緒に暮らすことを拒否した母だった。でも、きれいごとを言っていては本人には伝わらない。こちらがよかれと思ってすることは、結果的に相手をコントロールすることにもなってしまう。母に本心を聞いてみると、母自身が「一人暮らしをしたい」とのことだった。

 

弟に「自宅に帰りたい」という希望があれば、家族にも自分の希望がある。病気だからといって特別なことを受け入れることこそ、本人の自立心を奪うことになるだろう。皆が、無理や我慢をすることにもつながってしまう。

 

オープンダイアログの考え方に、「本人のいない場所で、本人のことを話さない、決めない」というのがある。大事なことだと思う。親亡き後に備えて、母と話す機会が増えているのだが、それも弟を交えて話す必要がある。

 

認知機能が低下し、被害妄想もある弟が、誤解しないよう、考えやすいよう、自分のための判断ができるように、情報を整理して、話し合いに臨みたいと思う。

 

家族一人ひとりが自分の人生を生きられるよう、互いに尊重しながら生活できるよう、環境を整えていきたい。

 

焦らずに、できることから一つずつ。