統合失調症の当事者家族が知っておきたい社会資源
統合失調症の当事者家族が知っておきたい社会資源
家族会、兄弟姉妹の会など
以前、母は家族会、私は兄弟姉妹の会に参加していました。いずれも参加者の高齢化が進んでいるようですが、いま困っていることがあってもなくても、ぜひ若いうちから参加することをお勧めします。当日は、専門家を招いた勉強会も行われたりするので、情報収集の場としても活用することができるでしょう。また、他の参加者の話を聞いたり、自分の正直な気持ちなど話したりすることで、解消できる不安があるのではないかと思います。
私が参加していたのは「東京兄弟姉妹の会」ですが、他の地域でも月に1回の定例会が開かれているケースが多いです。参加者の置かれている状況もさまざまですが、ぜひ一度、参加してみてはいかがでしょうか。
保健所(地域によっては、区役所・市役所の保健福祉係など)
困ったことがあった時、まずはこちらに相談しましょう。私が初めて区の保健福祉係を訪ねたのは、本人は病院に行く気がないものの、入院が必要な状況になった時でした。その後も、退院支援の際に話し合いに参加してもらったり、ことあるごとに相談しています。
医療機関等、すでにつながっているところや信頼できる専門家がいれば、そちらで相談するとよいかと思います。ただ、つながっているところはいくつあっても多いということはありません。さまざまな立場からの意見を聞くことで、視野が広がったり、的確な判断ができるということもあるでしょう。
いざという時に必要な社会資源
精神科病院(入院、外来、デイケア、家族会)
入院が必要になる場合、病床のある精神科病院を見つける必要があります。退院後は、同じ精神科の外来に通院するか、クリニックや診療所に通っていた場合は、そちらに戻ることになるケースが多いかと思います。
退院に際しては、医師や看護師の他、退院後の生活については精神保健福祉士が相談に乗ってくれます。本人の自立を考えたとき、あまり家族が前に出ず、専門家に任せることも大切です。
民間救急(民間の移送サービス)
任意入院が難しく医療保護入院となる場合、あるいは病床のある精神科病院に通院していない場合、自分で病院を探さなければならないこともあります。
精神保健福祉法34条に移送制度があり、都道府県や指定都市が応急入院指定病院に移送することになっています。ただし、相談から入院までに時間がかかること、地域によってはこの取り組みを行っていないところもあり、結局のところ民間の移送会社に依頼せざるを得ないことが多いです。
しかしながら、その費用の高さや強引なやり方が問題となっており、私たちも利用することに抵抗を感じながら依頼しています。
本人の自立のために活用する社会資源
障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」
障害福祉サービスについて、皆さんはどの程度ご存知でしょうか。サービス利用に際しては、事前申請の後、必要なサービスを選択してサービス等利用計画書が作成されます。
例えば、統合失調症の方が退院後に利用する場合、生活と就労を中心としたサービスが給付され、自立に向けた支援を受けるケースが多いようです。
詳細については、全国社会福祉協議会が出している「障害福祉サービスの利用について」のパンフレットがありますので、そちらをご覧いただくと、全体のイメージが掴めるかと思います。
さいごに
統合失調症の方の中には、まだ医療に結びついていない方から、症状が落ち着き自分で服薬管理しながら地域で自立した生活を送っている方まで、さまざまな状況の方がいらっしゃるかと思います。
大切なのは、どのような状況にあっても、どこかとつながっておくことです。当事者にとっても家族にとっても、何かあった時に支援が受けられるようにしておくと安心でしょう。家庭内で抱え込まず、積極的に外に出て、専門家や同じ立場の人に相談することで道が開けていくことも多いはずです。
当事者と家族の自律に向けて、焦らずに一歩ずつ進んでいくことが大切です。
ディスカッション
コメント一覧
こんばんは。医療関係者が現場を知らないで、机上の空論を書くのは、如何なものでしょうか?家族会とか保健所の保健師が、具体的に言って何をしてくれますか?役に立つことがありますか?無いでしょう!杓子定規に行かないんです。現場の事例を沢山見てから、書いてください。コメントをブログで読めるようにしてください。
>ピアス様
コメントありがとうございます。ピアス様がどのようなお立場の方で、どのような経験をされていらしたのかわかりませんが、ご気分を害されたようでしたら、失礼いたしました。様々なご苦労をされていらっしゃることと拝察いたします。
私は家族としての経験や現場の実習を含め、これまで学んできたことなどから、当初は地域の事業所を職場として考えていました。ただ、医療の現場を知らずして一方的に医療を批判できないと思い、最初の現場として医療機関を選びました。医療法人として、相談支援事業所、グループホーム、就労継続支援B型事業所、地域活動支援センター、ホームヘルプサービスの事業所も運営しています。上手くいかないことが多いのは、重々承知しているつもりです。家族として、絶望するようなことも多々ありましたが、現状を憂いて支援者を批判しても何も変わらない、支援を受ける側の心持ちも大事だし、何より本人の問題だと思うようになりました。家族の考え方や姿勢は、本人にも影響を与えるようです。言うは易しですが、私自身、どうしたら支援者が協力的に動いてくれるかを考え、働きかける努力が必要だと思っています。また、それぞれの場所や人から得られるものは人それぞれで、その人次第だとも思います。きれいごとだと思われるかもしれませんが、そう思っています。
このブログは、主に家族としての経験をもとに書いていますが、中には読んで不快な思いをされる方もいらっしゃるということを心に留めたいと思います。貴重なご意見、ありがとうございました。
丁寧なブログありがとうございます。
子どもが統合失調症なのでいつも制度にお世話になっています。
何年かに渡って拝見しています。
真面目に病気に向き合っておられる姿勢に敬意を表します。
>おかめ様
温かいコメントを、ありがとうございます。思わず涙が溢れ、癒されています。そして数年前に、沖縄のクリニックでの治療効果について共有いただいていたことを思い出しました。記憶違いでしたら、申し訳ありません。制度を利用されていらっしゃるとのこと、その後もお子様の症状が落ち着いているといいなと思ったりしております。おかめ様のコメントに感謝いたします。
こんばんは。私は、当事者になって37年になります。妻と子の3人で地域生活をしています。精神疾患は、第二のハンセン病と呼ばれている事は、ご存知ですよね。戦前は、国策により自宅監置でした。戦後は、国策により精神科の閉鎖病棟に閉じ込められました。入院させられて、40年も50年も退院できない方々が全国的に大勢おられます。貴女の勤務先の病院にも、おられますよね。内科でも外科でも精神科でも、良いドクターは、10人に1人位でしょう。良いドクターに薬を合わせてもらうことが先決では、ないでしょうか?
>ピアス様
コメントありがとうございます。歴史的に、精神疾患をお持ちの方が大変な思いをされてきているということは存じておりますが、その厳しさは想像を絶するものではないかと思います。37年前といいますと、その5年後に精神保健法ができるまで、まだ任意入院もなかった時代ですね。ご苦労も多かったのではないかと思いますが、今はご家庭を持って地域で生活されているとのこと、敬服いたします。
いま地域移行が一つのテーマになっており、私の勤める病院でも、昨年ようやく長期入院されている方々の病棟を一棟閉鎖しました。その後、訪問看護などに力を入れるようになってきています。日本は歴史的な問題で私立病院が多く、それも地域移行が遅れている大きな原因の一つですが、地域での受け皿がないと退院もできない状況にあり、それも課題だと思っています。
弟が発症してから19年になりますが、本人はいまだに病識を持つことができずにいます。病気であることを認めたくないという気持ちが強いようです。主治医は何人も替わり、薬もいろいろ試していますが、合う薬は定まってきているようです。断薬をしなければ安定した状態でいられるようなのですが、退院してしばらくすると断薬してしまい、入院を繰り返しています。今の医師は、心を開いて話さない弟に対し、やや諦めているような所があるようで、今後、場合によっては転院も考える必要があるかもしれません。ピアス様のおっしゃる通り、よいドクターに出会うことは、本当に大切なことだと思います。
こんばんは。ご丁寧な返信、ありがとうございます。当事者が病院から地域移行することは、ハードルがとても高いですね。アパートを貸してもらえない。借りれない。などの事例が多いです。住居の確保が難しいです。岡山方式が注目されています。弟様は、入院させられた。と家族に対して怒りと不信感が、おありなのでは、ありませんか?症状が重症化してしまう迄に、解決できることを願います。
>ピアス様
こんばんは。こちらこそ、ご返信ありがとうございます。私も弟が退院する際に、一人暮らしのためのアパート探しに苦労した経験があります。心ない言葉をかけられたこともありました。岡山方式については存じ上げませんでしたので、調べてみたいと思います。
確かに弟は、家族に入院させられたと不信感を持っているかもしれません。普段は穏やかなのですが、調子が悪い時に、攻撃的にそれを言葉にすることがありました。断薬した時のことはあまり覚えておらず、本人は入院の必要性を全く感じていないようです。温かいお言葉をありがとうございます。暑い日が続いておりますので、ピアス様もどうぞご自愛ください。
娘(24歳)が統合失調症です。つながりって大切ですよね。今度家族会の相談会があるので、行ってきます。家族会があるのは前から知っていたのですが、何かしているか分からなかったので、何かきっかけになるといいなと思います。
>すももパパさん
コメントありがとうございます。そうですよね、どこかにつながっていることで安心感も得られるように思います。家族会は、その日の参加者やテーマによって、また自分の家族の状況によっても、得られるものも違ったりしますが、まずは家族会がどのようなものか、知っておいて損はないかと思います。また、自分の経験を話すことで、他の人の役に立てることもあるかもしれません。私も久しぶりに、兄弟姉妹の会に参加してこようと思っています。すももパパさんも、何かのきっかけにつながったり、参考になる情報を得られますよう願っております。